国歌斉唱 in バンコク

何年か前に、国歌斉唱は義務なのか、強制させることは個人の権利侵害になるのかといった議論がありました。まだ問題になってるんでしょうか。大して興味がないので詳細は知りません。

 

さて、朝8時と夕方6時が私のタイで好きな時間です。この時間になると、公共施設(公園や駅など)ではスピーカーから軽快なラッパの音が聴こえてきます。カウントダウンのビープ音が響くと、国歌が流れます。国歌が終わるまでの約1分間、市民はその場に停止しなければなりません。警官が常駐している公園では、警官が笛を鳴らし、寝ている市民は起立させられますし、ランナーは止められます。

 

初めてこの光景を見た日本人は皆、少なからず緊張するはずです。独裁国家のような匂いがし、さっきまで当たり前に享受していた自由がこのひと時は権力に押さえつけられているような気分がします。

 

しかし慣れてくると、この光景がなかなか良いものに思えてくるのです。その一時だけ、皆がタイという国に思いを馳せる。喧騒が一瞬止まる。国歌が終わると皆なんとなくお辞儀をして、生活に戻っていく。このシークエンスがたまらなく美しく見えてきます。

 

タイに旅行に来る人には、是非夕方18時に公園に行ってみるよう勧めています。日中の殺人的な日差しが西日に変わり、涼しい風が吹くこの時間帯の国歌斉唱は格別の風情があります。止まらなかったら撃たれたり逮捕されるわけでもないし、頭を掻いている人やケータイを見ている人もいます。下に貼ったように動画を撮っても怒られはしません(露骨に警官の目前でやったらダメでしょうが)。

 

www.youtube.com