児童相談所は人手不足か?ざっと計算してみる

1.子ども=15歳未満の統計です。児童相談所は17歳までを対象とするようですが、統計データがないので。これが分子。

 

2.県別に配置されている児童相談所、児童福祉司、児童心理司、スーパーバイザーの数は厚労省が公表しています。

 

児童福祉司が基本的に対応に当たり、スーパーバイザーが経験を積んだいわば児童福祉司の上級職。児童心理司は心理的な専門家(カウンセラー、心理療法士)。といったイメージで理解しました。これを合計して「子どもをサポートする大人」と考えて分母に持ってきます。

 

3.大人一人あたりがサポートする子どもの人数が多い順に並べると下表のようになります。合計すると1500万人の子どもを5千人の大人で支えていることになります。大人一人あたり3千人です。

 

4.全体としてどうかは置いておいて、今回問題の起きた東京を見てみると、確かにかなり上位に位置しています。一人あたり3800人強。一方の香川は3000人。この差が両児童相談所間の対応の差として「しょうがない」ものなのかどうか。ここでは「数」を議論しているので、目黒区の事件にフォーカスするのではなく、各県で起きた虐待数、それに対する児童相談所の対応数、その内残念な結果になってしまった件数、といったデータで分析すべきなのですが、数字に表れてこない虐待もあるでしょうから、ここではこれ以上突っ込みません。

 

5.子どもの人口が東京に次いで多いのは神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉と続きます。このうち千葉、大阪、神奈川は香川県よりも下位に位置します。全国平均より下です。千葉県は子育て世帯に優しく、神奈川県は冷たいという勝手なイメージがあったので意外でした。

 

  A(千人) B(人) C D E=B+C+D F=A/E
15歳未満人口 児童福祉士 児童心理司 スーパーバイザー 合計人員 一人あたり担当児童数
栃木 245 33 15 9 57 4,298
鹿児島 217 34 14 3 51 4,255
奈良 163 25 10 6 41 3,976
佐賀 113 17 9 3 29 3,897
宮崎 146 23 11 4 38 3,842
東京 1,542 244 107 51 402 3,836
岐阜 258 44 16 8 68 3,794
茨城 355 60 25 9 94 3,777
山形 130 21 11 3 35 3,714
福井 101 17 9 3 29 3,483
沖縄 247 47 13 11 71 3,479
愛媛 164 32 11 5 48 3,417
群馬 241 37 25 9 71 3,394
長崎 173 29 14 8 51 3,392
熊本 237 40 24 6 70 3,386
福島 220 42 17 6 65 3,385
富山 124 22 11 4 37 3,351
三重 226 40 21 7 68 3,324
埼玉 899 184 51 37 272 3,305
広島 368 69 28 16 113 3,257
福岡 675 126 51 32 209 3,230
静岡 464 79 47 19 145 3,200
愛知 1,010 210 65 42 317 3,186
山口 164 27 18 7 52 3,154
兵庫 692 130 71 22 223 3,103
香川 120 23 11 5 39 3,077
滋賀 200 36 19 11 66 3,030
新潟 265 60 17 11 88 3,011
北海道 588 118 61 22 201 2,925
長野 260 46 33 10 89 2,921
千葉 755 154 83 22 259 2,915
山梨 99 21 9 4 34 2,912
岩手 144 32 14 4 50 2,880
大分 143 26 18 6 50 2,860
岡山 243 47 30 10 87 2,793
宮城 280 49 43 12 104 2,692
石川 145 31 21 3 55 2,636
大阪 1,069 278 84 54 416 2,570
神奈川 1,122 284 106 53 443 2,533
秋田 101 22 14 4 40 2,525
徳島 85 21 10 4 35 2,429
和歌山 112 30 13 6 49 2,286
青森 141 39 19 9 67 2,104
京都 308 94 42 16 152 2,026
島根 85 22 15 6 43 1,977
鳥取 72 21 10 6 37 1,946
高知 80 29 13 10 52 1,538

 

 

データ出所

A:統計局 

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2017np/index.html

 

B~D:厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000174777.pdf

 

厚生労働省もこういった統計情報はPDFではなく編集しやすい形で公表してくれないですかね。それとも探せばあるんだろうか。